外交・安保取材の現場から

ロシアが北方領土を返さない理由 旧ソ連時代から配備される弾道ミサイル搭載原潜、北極海権益で中国牽制…

【外交・安保取材の現場から】ロシアが北方領土を返さない理由 旧ソ連時代から配備される弾道ミサイル搭載原潜、北極海権益で中国牽制…
【外交・安保取材の現場から】ロシアが北方領土を返さない理由 旧ソ連時代から配備される弾道ミサイル搭載原潜、北極海権益で中国牽制…
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 なぜロシアは北方領土の返還に応じないのか。

 12月15、16両日に行われた日露首脳会談では、この日本人にとって古くて新しい問いが改めて突きつけられた。北方四島は軍事的要衝であり、返還に応じればロシアの安全保障を脅かすことになる-。こうした認識は、日本滞在中にプーチン大統領が残した発言からも透けてみえた。

オホーツク海は命綱

 「ロシアにはウラジオストクと、その北に大きな艦隊の基地がある。わが国の艦船は(その港から)太平洋に出ていく。私たちはこの面で何が起こるかということを理解しなければならない」

 プーチン氏は16日に安倍晋三首相とともに臨んだ首相公邸での共同記者会見で、軍事について語り始めた。日米安全保障条約が北方四島にいかなる効力を及ぼすのかを問い、「ロシア側の懸念を考慮してもらいたい」とも呼びかけた。

 プーチン氏はこの場で直接言及しなかったが、カムチャツカ半島東岸には弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)が配備されている。旧ソ連時代から、オホーツク海に身を隠すSSBNに搭載した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の照準を米本土に合わせることで、米国からの先制攻撃を抑止してきた。

 国名がソ連からロシアに変わっても、SSBNの重要性は変わらない。

 2008年のグルジア紛争、14年のクリミア危機などをめぐり、米国はロシアと激しく対立した。それでも米軍が本腰を入れて介入しないのは核抑止力があるからだ、というのがロシアの認識だ。SSBNの活動海域であるオホーツク海と北極海は、ロシアにとって命綱ということになる。

 ロシア軍事に詳しい未来工学研究所の小泉悠客員研究員は「冷戦終結直後、カムチャツカにいる潜水艦部隊は旧式ばかりでボロボロだったが、元気な新鋭艦が来てオホーツク海の戦略的意義も高まっている」と解説する。

 露海軍は昨年9月に最新鋭のボレイ級SSBN1隻をカムチャツカ半島に配備した。計8隻調達するボレイ級のうち、4隻が極東地域を担当する太平洋艦隊、残り4隻が北極海をカバーする北方艦隊に振り分けられる計画だ。

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