来年1月2日から浅草公会堂(東京都台東区)で始まる「新春浅草歌舞伎」に4役で出演します。若手主体の公演で、平成24年から出ていますが、これまでは先輩のお芝居の脇を固める立場でした。でも今回、すべて初役で出ずっぱり。
第2部「鈴ヶ森」は芯となる白井権八役で、初めてチラシの演目名の次に名前が出ました。こんなにうれしいことはありません。外の世界で頑張ったのも、これを目指してのことです。
権八は前髪だち(若い)のうるわしい男。10代ながら剣の達人ですから、できる奴という部分を出しながらも、幡随院長兵衛(中村錦之助)が世話したくなる愛嬌(あいきょう)も必要ですね。(中村)梅玉(ばいぎょく)のおじさんに教えていただきますが、包容力のある長兵衛に対し、とがっていけたら。立ち廻りでは腕が飛んだり、足が切れたりしますが、歌舞伎的様式美で面白く見せる演目です。
ほかに、第1部「傾城反魂香」でご注進役、第2部の「角力場」で上方のぼんぼん役、「棒しばり」で大名役と、いずれも毛色が違います。先輩方のご指導を仰ぎ、演じ分けたいです。
振り返ると、役が付かないことに慣れそうになった時期もありましたが、それを(片岡)仁左衛門のおじさんや(市川)猿之助のお兄さん、(市川)染五郎のお兄さんが役を付け、引っ張ってくださった。その思いを無にせず、来年も貪欲に挑戦し続けたいです。
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新春浅草歌舞伎は1月26日まで。(電)0570・000・489。
=1月は尺八奏者、川瀬庸輔さんです。