東京の1月は一年で最も歌舞伎公演が多い。来年も都内4座で上演される。初日の鏡開きなどのイベントやにぎやかな飾り付けも含め、芝居の周辺も楽しみたい。(飯塚友子)
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≪歌舞伎座≫
来年、舞台生活60年を迎える坂東玉三郎(66)が「寿初春大歌舞伎」夜の部に出演。「井伊大老」(北條秀司作)では、井伊直弼(松本幸四郎)の側室、お静の方を42年ぶりに演じる。
「北條先生の書く女性はかわいい」と愛情を込める玉三郎。桜田門外の変の前夜を中心に、大老の苦悩を描く。大老が心許すお静の方とひな壇の前で語り合う幕切れは、しみじみした情緒が漂う。「先生はロマンチストで、昔の良い時に帰りたいと言わせる。先生のお考え通りにやればいいと思います」
さらに、玉三郎が新構成・演出した長唄舞踊「傾城」も歌舞伎座初上演。四季の風物と恋心を織り交ぜた詞章で、「季節感を大切に踊りたい」と話す。美しさは相変わらずだが、60年目にも「何年なんて考えたことない」と気負いなく節目を迎える。1月2〜26日。