映画深層

『幸福のスイッチ』から今年で10年 新人発掘の聖地「田辺・弁慶映画祭」に行ってみた

【映画深層】『幸福のスイッチ』から今年で10年 新人発掘の聖地「田辺・弁慶映画祭」に行ってみた
【映画深層】『幸福のスイッチ』から今年で10年 新人発掘の聖地「田辺・弁慶映画祭」に行ってみた
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 最近、映画界でよく耳にする言葉に「田辺系」がある。田辺とは和歌山県田辺市のことで、ここで毎年開かれている「田辺・弁慶映画祭」で評価された若手監督のことを、将来への期待も込めて「田辺系」と称しているのだが、実はこの映画祭、まだ10年しか歴史がない。それでいて、すでにPFF(ぴあフィルムフェスティバル)などと並ぶ新人発掘の場になっている。秘密を探るべく、11月に開かれた今年の映画祭に駆けつけた。(文化部 藤井克郎)

次から次へと質問攻め

 東海道新幹線を新大阪で下車し、さらに特急に乗り換えて2時間強。田辺市の玄関口、紀伊田辺駅にたどり着いたときには、もうお昼の12時を回っていた。近くに南紀白浜空港もあるとはいえ、この辺りは東京から最も行きにくい地域の一つではないだろうか。

 第10回田辺・弁慶映画祭は11月11日から3日間、田辺市役所に隣接する紀南文化会館を会場に開かれた。当方は残念ながら2日目には帰らなくてはならず、メーンイベントである最終日の表彰式には参加できなかったが、その盛り上がりの一端には触れることができた。ちなみに弁慶映画祭の名称は、この地が武蔵坊弁慶の生誕地と伝えられていることによるものだ。

 映画の上映は、1200席を超える大ホールと、可動式座席の小ホールの2カ所で行われる。大ホールは「海よりもまだ深く」「レヴェナント 蘇えりし者」といった招待作品の上映に使用され、新人監督によるコンペティション部門は小ホールが会場となる。今年は過去最多の160作品の応募があり、審査を通過した8作品が上映された。

 駅から歩いて十数分の紀南文化会館に直行すると、小ホールはすでに多くの観客で埋まっている。前の方の椅子には「映検審査員」「市民審査員」などの紙が貼られており、当方は後方の一般席に腰を下ろした。