天皇陛下の誕生日を祝う一般参賀があった23日、平成で最多の3万8588人が皇居を訪れた。陛下の譲位のご意向を受けて初めて来た参賀者も目立ち、宮内庁関係者は「皇室に関心が寄せられ、陛下も喜ばれていると思う」と話した。
小学4年の孫を連れて訪れた東京都練馬区のパート、善財(ぜんざい)田鶴さん(82)は「昨日の出来事(新潟・糸魚川の大火)をあいさつに取り入れていて、国民をよく見てくださっている」と感激した様子。同世代である陛下の日々のご公務の多さに驚きを隠さず、「ご自身でやらないと、というお気持ちが強いのでしょう。これからは皇太子さまの助けも借りながら長生きしていただきたい」とおもんぱかった。
先の大戦で海軍だった父親を亡くした神奈川県綾瀬市の無職、稲垣雅英さん(75)は妻とともに初めて参賀に。「陛下が慰霊を大切にされているのは分かっていた。譲位のご意向を知り、お元気なうちに見ておきたかった」という。
家族連れや若い世代の姿も多かった。「皇室に関心はなかった」という千葉県船橋市の会社員、小林由美さん(25)は、譲位のニュースを見て友人と2人で初めて足を運び、「陛下の穏やかな顔にほっとした」と笑顔を見せた。
幼稚園児の長男(5)と一緒だった東京都渋谷区の会社役員、福住尚将(なおゆき)さん(38)はいつも来ているといい、「変わらぬお姿に安心したが、お体のことを考えれば無理をしていただきたくない」と願った。