歌って、映画よりももっとポピュラーなものだと感じたんですね。映画はヒットしても見ない方も大勢いらっしゃるわけですが、歌は、特にあの当時、耳にする方がとても多くて。その分、距離が近くなるというか。学校生活も大変になったこともあって。このまま歌手でやっていくなんてことは夢にも思わなくて。
でも「探偵物語」で「歌ってみないか」といわれたときに、そのときに出会った松本隆さん、大滝詠一さんという存在は、私の中でとても大きいんですね。
自分が歌が好きだ、歌っていきたい、アルバムに参加すること、アルバムを作ることがとても好きなんだということを気付かせてくれたお二人です。
そこでその方たちに会わなかったら、もしかしたら「演じることだけやらせてください」と言っていたかもしれません。
その後にユーミンだったり、南佳孝さんだったり。その都度、詞を書いてくれる松本隆さんの世界観が、今になっても十分大人の歌として通用する言葉をくださいました。
(竹内)まりやさんやご主人の(山下)達郎さん、それに(井上)陽水さんらと出会ってきたことが、自分の音楽環境にすごく大きな影響を与えて。
〈そういった姿勢の薬師丸の歌は、多くの聴衆を魅了する〉
コンサートでは2つのシーンを分けようと思っていて。大きなホールのコンサートでは、今までのヒット曲やなじみ深い曲を聴いてもらう機会にしたいと思っています。そしてコンパクトなライブホールなどでは、自分がアルバムを出したものや、表現を始めたものを共有する空間にしたいんです。もちろん、そういう場所でも、みなさんが聴きたい曲は大事に大事に歌っていきたいです。