スポーツ岡目八目

ドーピング検査「強化」で今から想像されるプロ野球界の「不協和音」

 それから半年後に野球が五輪の正式種目となり、その3カ月後に血液検査導入の決定。薬物に対する監視態勢の強化が着実に進んだといいたいところだが、実際はどうなのか。

 NPBによるドーピング検査は血液検査をしなかったことではなく、前述どおり検体数が少なかったことが最大の問題点だ。WADAの規定に準ずるというのが血液検査の実施、手順だけを指しているとしたら、正直あまり意味がない。検体数の大幅増加や抜き打ち検査、注意人物の重点検査といったところまで今後踏み込んでいけるのか。

不満爆発の危機

 結論からいうと、WADAにも日本アンチ・ドーピング機構にも加盟していないNPBが、他競技連盟のレベルまでドーピング検査を厳しくすることは難しいだろう。

 07年に本格導入する前年の06年、NPBはドーピング検査を「試験導入」したが、違反者が100人を超えたという。ひとえにドーピングに対する無知からの結果だった。当時は周知期間だったから罰則はなく、現在では球界でもドーピングに対する意識は高まっているが、それでも五輪競技団体から比べればまだ甘い。一足飛びに厳しい検査を実施すると違反者が続出する可能性がある。

 一方で、NPBが穏やかなドーピング検査に終始するようなら、WADAの要求が厳しくなる可能性も考えなければならない。

 2年前、深夜の抜き打ち検査に女子テニスのクルム伊達公子が激怒した旨をブログに記していたが、ドーピングに厳しい団体ではどんな大物選手だろうが、夜討ち朝駆けの抜き打ち検査に容赦はない。薬物に対し神経質な日常に慣れない野球界ならイライラが高じてキレる選手がいても不思議ではない。

 血液検査導入でドーピングに対して厳しい姿勢を打ち出したNPBだが、実はここからが勝負なのだ。