多くのサル類を含む有胎盤哺乳類のペニスに見られる「陰茎骨」は、なぜ人間には存在しないのか? 英国の人類学者たちによれば、理由は「オス同士の競争の激しさ」と「性行為の長さ」に関係しているという。
PHOTO: REUTERS / AFLO
科学者たちにとって「陰茎骨」(別名:バキュラム)は長らく難題だった。陰茎骨は、骨格から切り離された状態でオスの生殖器の先端にぶら下がっており、多くの有胎盤哺乳類に見られる。例えばネズミやコウモリ、ネコ、イヌ、ハリネズミなどに存在する。セイウチにいたっては、長さ2フィート(約60cm)の驚異的な骨を有している。まるで野球のバットだ。
われわれに最も近い種を含む大半の霊長類にも「バキュラムクラブ」の会員はいるが、ヒトは例外だ。
ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンで何千種という哺乳類の生殖器と交配行為の分析を行っている人類学者のマチルダ・ブリンドルとクリストファー・オピーは、ヒトはオス同士の競争が比較的少なく、性行為も比較的迅速に終わるため陰茎骨を失ったのかもしれないと述べている。