防衛最前線(101)

「心神」に自衛官ピリピリ、稲田朋美防衛相ニッコリ 機密の塊、「先進技術実証機」X2

 稲田氏は杉山良行航空幕僚長、渡辺秀明防衛装備庁長官らから、こうした心神の特性について説明を受け、コックピットに乗り込み満足そうな笑顔を見せた。

 ただ、心神はあくまで先進技術を実証するための試作機で、そのまま日本の防空を担うわけではない。次期戦闘機を国産開発するのか、国際共同開発に参加するのか-。防衛省は心神のデータを基に30年度までに判断を下す方針だ。

 「将来戦闘機をわが国独自で開発するという選択肢を与えるための非常に重要な取り組みだ」

 稲田氏は視察後、記者団にこう強調した。国産ステルス戦闘機の開発は防衛省の悲願ともいえる。1980年代には次期支援戦闘機(FSX)選定をめぐり、米国の圧力でF2戦闘機の共同開発を余儀なくされた経緯もある。

 ただ、稲田氏は「国際共同開発する良さもある」と付け加えることも忘れなかった。最近の戦闘機開発は複数の国が技術を持ち寄るのが主流で、空自が導入する最新鋭ステルス戦闘機F35も米国、英国、オランダ、イタリアなど9カ国が開発に参加している。政府が26年4月に閣議決定した防衛装備移転三原則で広範な防衛装備協力を可能としたのもこのためだ。

 国際共同開発に参加しても、心神開発が無駄に終わってしまうわけではない。

 防衛省関係者は「航空機開発では、エンジンや機体を1つの戦闘機としてインテグレート(統合)する技術が最も重要。これがなければ国際共同開発でも脇役に甘んじることになる」と明かす。防衛省は、心神開発により「対外的なバーゲニング・パワー(交渉力)の向上も期待できる」と意気込んでいる。(杉本康士)

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