フリーゲージトレイン開発遅れにJR九州社長が懸念

 ■長崎新幹線「フル規格化」要請を示唆

 JR九州の青柳俊彦社長は20日の記者会見で、九州新幹線長崎ルート(博多-長崎)で導入予定のフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)の開発遅れについて、「安全性など運行事業者としてお受けできる状況ではない」と述べた。めどが立たなければ、FGT導入を見送り、鹿児島ルートと同じ全線フル規格化を求める姿勢を示した。 (村上智博)

 長崎ルートには、レール幅が異なる在来線と新幹線の区間があり、FGTで走る計画になっていた。

 ところがFGTの開発が遅れた。国土交通省など6者は今年3月、在来線と新幹線を対面ホームで乗り継ぐリレー方式で平成34年度に暫定開業することで合意した。国交省は37年度にFGTによる全面開業を目指す。

 だが、開発はさらに難航した。国交省は11月、FGTの耐久走行試験の再開をさらに延期すると決めた。現段階で、FGT開発のめどは立っていない。

 青柳氏は記者会見で「これまで(耐久性などの向上に)かけてきた対策が不十分なら、FGTの開発はかなり先に延びる。それは適切ではない。安全性についても十分確認できるレベルではない」と懸念を示した。

 その上で「(リレー方式が)長く続くことは適切ではない。国はFGTに代わる検討を進めてほしい」と述べ、フル規格化の検討を求めた。

 国は今月3日から、開発再開の前提となる検証走行試験を始めた。試験の結果は、来年5月にも出る。結果次第では「耐久走行試験」はさらに遅れる。

 青柳氏は「来年初夏には、方向性を示してもらいたい」と語った。

 また、FGTは、メンテナンスも含め、現在の新幹線の3倍程度の費用がかかると試算される。青柳氏は「一刻も早く経済性の問題を、クリアできる段階になるのを希望している」と述べた。

 全線フル規格について、長崎県には期待する声が強い。一方、佐賀県は線路新設に伴って財政負担が増すことから、否定的な意見が根強い。またJR西日本は、FGTの山陽新幹線乗り入れに難色を示している。

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