国際学習到達度調査

シンガポール首位独占のワケ 「1ドル硬貨8枚の重さは?」小学校卒業試験の威力絶大 競争の影でいじめや自殺も

 ただ、能力重視の現実主義者だったリー氏は厳しい「選抜制度」を築き、進学や就職での競争環境を定着させた。11歳で受けるPSLEの成績で、(1)上位約60%はエキスプレス(4年間)、(2)中位約25%はノーマル・アカデミック(5年間)、(3)下位約15%はノーマル・テクニカル(4年間)-のコースにまず振り分けられる。原則、(1)と(2)のコースの生徒だけ、高校(2~3年間)進学のOレベル試験を受けるが、合格するのはその3分の1程度。さらに大学進学をかけたAレベル試験が、最後のいばらの道として待ち構える。

 ふるいにかけられた結果、国内の公立大学への進学率(2013年)は約3割にとどまり、さらに難関を勝ち抜いた一部のエリートのみが、国費留学などを経て、政府や政府系企業の職員となり将来を保証される。そのほか5割弱は高等専門学校(3年)、2割強は職業訓練学校(1~2年)を経て就職するが、好待遇は望みにくいのが現実だ。

 つまり、11歳にして、勉強という一つの基準により、その後の人生を国に方向づけられる制度とも言える。現地の状況を記した近著『シンガポール謎解き散歩』(田村慶子、本田智津絵著)は、12歳の3人に2人は近視で眼鏡をかけているほど厳しい受験競争の実態について、「勝ち抜いた者とそうでない者の間には埋めがたい社会的溝ができているように思える」と指摘している。

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