国際学習到達度調査

シンガポール首位独占のワケ 「1ドル硬貨8枚の重さは?」小学校卒業試験の威力絶大 競争の影でいじめや自殺も

 ちなみに「脱ゆとり教育」に舵を切った日本は、科学が前回の4位から2位、数学も7位から5位に上昇したが、読解力は4位から8位に落ちた。

 シンガポール教育省は今回の結果について、近年進めてきたカリキュラム改革で、「思考能力を高める教育により多くの時間を費やしてきたことが奏功した」と分析している。子供たちが「実社会の状況と文脈に対応する力を備えてきた」とし、改革で学習意欲の向上効果もみられるとの自己評価だ。

 この改革は、「詰め込み型教育」からの脱却を目指す取り組みとも言える。例えば、11歳で原則全員が受けるPSLEの昨年10月の数学の設問は、「1ドル硬貨8枚の重さはどうなるでしょう」として、答えは、6グラム、60グラム、600グラム、6キロの4択だった。1枚分の重さは教えられないまま、日々の経験や常識を重視し、生徒の推察力を試した。答えは60グラムだ。

 シンガポールは、マレーシア連邦から追い出されるように分離・独立した1965年当時、独立国家として発展していく可能性はないとみられ、「未来のない都市国家」と揶揄(やゆ)された。昨年3月に91歳で死去した「国父」、リー・クアンユー初代首相は、安全保障と経済発展に注力して繁栄を実現した。2016年度予算では、国防費の140億シンガポール(S)ドルに次いで、教育費は128億Sドルと2位の支出規模だ。

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