人型ロボットのお仕事

刑務所を出所後、再犯防止に「ペッパー」が話し相手 ギャグ飛ばす「吉本」の特別バージョン

 同研究所の山地克明所長(41)は「人を笑顔にしてきた100年の歴史とノウハウがある。コミュニケーションの部分に気を使ってプログラムを組んだ」と胸を張る。多くのお笑い芸人を世に送り出してきた吉本興業だけに、ペッパーの笑いのセンスに磨きをかけたという。

 両全会の施設長、木下さんは「ペッパーと漫才をする寮生や、『ペッパーにやさしい言葉をかけてもらった』と喜んでいる人もいる。ペッパーは能動的で、純真無垢(むく)な感じがいい」と話す。

国際会議での報告も検討

 更生に人工知能(AI)はどう役立つのか。大阪大学の石黒浩教授(53)=ロボット工学=は「他人の前では気を使って心を開かなかった人も、ロボットの前なら素直になれることがある」と指摘。両全会の小畑輝海理事長(75)は「ペッパーが来て雰囲気が明るくなった。犯罪を繰り返す人は幼少の頃、家庭環境に問題があるケースも多い。コミュニケーション能力の回復にペッパーが果たす役割は大きい」と語る。

 他人とのコミュニケーション能力が乏しい人たちとロボットが対話する。ペッパーの導入で、寮生たちの心理や行動にも変化の兆しが見え始めている。

 新潟青陵大大学院の碓井真史(まふみ)教授(社会心理学)は「生身の人間なら猜疑心(さいぎしん)が働く場合もあるが、ロボットが相手なら緊張せず、安心して会話できる。ペットセラピーと同じような効果が期待できる」と指摘する。