「お大師さまへの手紙」1万通超す 悲しみ、悩みや感謝つづる 高野山

 弘法大師・空海に宛てて手紙を書いて悲しみや苦しみを打ち明け、心安らかに過ごしてもらおうと、高野山真言宗(高野町)が昨年6月に始めた「お大師さまへの手紙」が1万通を超えた。参拝者からの手紙には、悩みだけでなく感謝の気持ちをつづった内容も多いという。同宗の小籔実英・教学部長は「人の悩みは尽きず、お大師さまに救いを求める信仰は永遠。悩みを抱える人の役に少しでも立つことができれば」と話している。

 「お大師さまへの手紙」は昨年、高野山開創1200年記念大法会直後の施策として企画。6月に奥之院御廟前に専用ポストを設置した。奥之院の燈籠堂など2カ所に置いた専用はがきや、個人で用意したはがき、便箋(びんせん)を直接専用ポストに投函(とうかん)するほか、郵送でも受け付けている。

 〈がんになり、人々のありがたみ、自分という人間をふり返ることができ、病気をしていなかったら、人間関係、あたたかみを知らずに死んでいた〉

 〈体調をくずしましたが、周囲の人たちに助けてもらい、今は楽しく仕事することができています〉  〈ご飯が食べられてうれしい 自由な時間があるのがうれしい ありがとうございます〉

 人間関係や健康の悩み、将来への不安…。人生を振り返ったり、日々の生活に感謝したり。参拝して人生観が変わったことなど思い思いの言葉が並ぶ。「書くことによって自分の気持ちが整理され、発散してもらえれば」と同宗。約1年半で寄せられた手紙には、自分自身と向き合った正直な気持ちがつづられている。

 専用はがきには「お大師さまにだけ読んでもらいたい」か「多くの人に役立つのであれば匿名で活用してもよい」を選ぶことができるチェック欄がある。活用を承諾した人のうち、住所や名前が分かり、悩みをつづった人たちの一部に、励ましの言葉を記したポストカードを返送している。

 今後、同宗では、承諾を得た手紙の内容を何らかの形で紹介することを検討している。小籔教学部長は「共感、共有し、自分一人ではなく、仲間がいると分かるだけでも、大きな心の支えになるのでは」と話している。

会員限定記事会員サービス詳細