来日したプーチン大統領にぜひ、訪ねてほしかった場所がある。大阪府堺市から高石市にまたがる浜寺公園である。歌枕の地で高師浜(たかしのはま)と呼ばれ、古くから白砂青松で知られた。平成14年5月に「日露友好之像」が建てられ、当時の小泉純一郎首相と、他ならぬプーチン氏の署名が刻まれている。
▶日露戦争で捕虜になったロシア兵の収容所があり、最大時には2万8千人が収容された。この地が選ばれたのは、気候温暖、風光明媚(めいび)が決め手になったという。1899年のハーグ条約で、捕虜、傷病者に対する人道的な扱いが定められ、一等国の仲間入りをめざす日本は国際社会に気を配ったのである。
▶まだ一般家庭に電気が行き届いていない時代に、収容所内ではどこも電灯がついた。運動のために外出も許可され、親しくなった地元住民の家に招待される捕虜もいたそうだ。日本とロシアの歴史の一コマである。対してロシアは、北方領土を不法占拠して70年以上になる。