【主張】記述式の入試 人材育てる労を惜しむな - 産経ニュース

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主張

記述式の入試 人材育てる労を惜しむな

 ようやく国立大学の入試で記述式が重視されることになった。

 よく考えて書くのは思考力、表現力を育む上で欠かせない。大学入試でその機会が少なかったことの方がおかしい。しっかり学ぶ教育につなげてもらいたい。

 2020(平成32)年度から国立大などの1次試験にあたる大学入試センター試験に代え、新しい共通テストが実施される予定だ。

 これに合わせ、国立大学協会が2次試験では長文で答える問題を課す方針を示した。国語が中心で原則、全受験生が対象となる。

 新共通テストの国語と数学で記述式問題を加えることが検討されているが、受験者が数十万人規模になるため採点時間などの問題点があった。80字以内といった短文なら可能だとしても、それ以上の長文の記述式は2次試験に任せる方が現実的だろう。

 センター試験は私大を含め利用大学が増え、定着してきた。その一方、大学によってはセンター試験に頼りすぎ、個別試験で手を抜いていなかったか。

 現行センター試験は選択で答えるマークシート方式だ。前身の共通1次試験時代から「考える力が育たない」と批判があった。

 ならば各大学の試験で記述式を重視すべきだが、現在、国立大2次試験で記述式を課しているのは募集人員の4割にとどまるという。寂しい限りである。

 どんな学生を採り、育てていくかは大学教育の重要な仕事であるはずだ。記述式は採点の負担が増えるといった考えがあるなら、おかしい。

 それとも、受験生の文章の良しあしが見極められないほど大学教員のレベルは低いのか。面接など筆記試験では測れない受験生の能力を多面的に評価することも課題だが、記述式の採点を厭(いと)うような教授らに教育を任せられるか。

 これを機会に、受験科目が少ない入試も見直したい。昭和54年導入の共通1次は当初、5教科7科目を課していた。センター試験では大学が必要な試験科目を選ぶ形に変わり、科目が少ない大学が増えた。物理を知らない理工学部生など、基礎知識を持たずに入学する学生の増加を生んでいる。

 入学後に切磋琢磨(せっさたくま)する教育研究の環境やカリキュラムが肝要なことはもちろんだ。大学の中身の改革を忘れてはならない。