【産経抄】三四郎を待望する 12月13日(1/2ページ) - 産経ニュース

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産経抄

三四郎を待望する 12月13日

 「どうも、ねらいが優勢勝ちの判定へ持ちこもうとする気配が強く、おもしろくない」「審判の歯ぎれがよくならざるを得ないような『一本勝負』が見たいものである」。昭和35年4月の新聞に、4年後の東京五輪から正式競技となる柔道への不満の声が載っている。

 ▼発言の主は、柔道小説の名作『姿三四郎』の作者として知られる富田常雄だった。56年後、今や世界的な競技「JUDO」となっても、同じ問題を抱えている。豪快な一本を狙うより、ポイントを積み重ね、反則勝ちでよしとする選手が、特に海外勢で目立つ。

 ▼そこで国際柔道連盟(IJF)は先週、4年後の2度目の東京五輪に向けた新たなルール案を発表した。現在は3段階ある技のポイントが、「一本」と「技あり」だけになる。さらに2度の技ありでの「合わせ技一本」も廃止される。柔道の始祖、嘉納治五郎は、力だけに頼らず、技の切れと精神力で取る、「一本」を重視した。今回のルール改正が、嘉納精神の原点に戻るきっかけになるのなら大いに歓迎する。