都市を生きる建築(83)

団地マニアも一目置く「新桜川ビル」…「併存住宅」のリノベーションは住宅不足の切り札に

【都市を生きる建築(83)】団地マニアも一目置く「新桜川ビル」…「併存住宅」のリノベーションは住宅不足の切り札に
【都市を生きる建築(83)】団地マニアも一目置く「新桜川ビル」…「併存住宅」のリノベーションは住宅不足の切り札に
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 戦後、日本の各都市は深刻な住宅不足となり、公的セクターが都心に数多くの共同住宅を建設していった。そのなかに「併存住宅」と呼ばれるタイプがある。低層階に店舗や事務所を置き、その上に住戸を積み上げ用途を「併存」させた建築のことで、日本住宅公団(現在のUR)などが都心の土地所有者に働きかけ、民間が建て替える低層部分の上に、集合住宅を建てさせてもらったものだ。

 民間は補助などを受けて低コストで建て替えることができ、公的には都心の高度利用で住宅供給を図り、コンクリートの近代建築にすることで、都市の不燃化を推進できるメリットがある。

 大阪市内には現在も数多くの併存住宅が残っているが、その中で最も特徴的な形をしているのが、千日前通と新なにわ筋の交差点に建つ、新桜川ビル(大阪市浪速区)だ。ちょうど阪神高速15号堺線が南に左折するところで、高架の大きなカーブに曲率を合わせたかのような、丸い筒状の形をしている。実際はビルの方が10年ほど先にできているのだが、ダイナミックな幾何学的調和は、他では見ることのできない都市景観だ。