自由で明るい皇室像
殿下は、四方の兄弟のなかでも末っ子でいらっしゃった。大正天皇の長男の裕仁親王殿下は天皇に、また次男の秩父宮殿下は万一の時に天皇になる方とされた。ところが、秩父宮殿下は昭和十六年(一九四一)に結核で療養生活にお入りになったため、三男であられる高松宮殿下が、万一の時に天皇になる方とされた。よって、長男から三男までは特別な存在であられたが、四男の三笠宮殿下はそのような特別な地位にいらっしゃらなかっただけでなく、一つ上の高松宮殿下とも十歳も年が離れておいでで、ご兄弟のなかでもお一人だけ自由な環境でお育ちになった。しかも、大正天皇と貞明皇后のご意思により、四兄弟のなかで三笠宮殿下だけが両親の元で育てられた。
そのようなことが影響してか、殿下はご幼少期から伸び伸びとお育ちになり、軍人としての立場をお離れになってから、益々個性を発揮なさったように思う。学者として業績をお遺しになっただけでなく、天皇の名代として、流暢な外国語を駆使して数々の国際親善を担っていらっしゃった。また、ダンスをなさるお姿は、国民から親しみを持たれ、戦後の皇室像形作の過程で尽力なさった。
殿下の自由で明るいご性格が影響してか、お子様方もお孫様方も、自由で明るいご性格の方ばかりで、皆様、様々な分野でご活躍なさっていらっしゃる。そして、三笠宮家だけでなく、東宮ご一家、秋篠宮ご一家にも大きな影響をお遺しになった。三笠宮殿下なくして、現在の親しまれる皇室は無かったのではないかと私は思っている。
たけだ・つねやす 昭和50(1975)年、旧皇族・竹田家に生まれる。明治天皇の玄孫。慶應義塾大学法学部卒業。『語られなかった皇族たちの真実』で第15回山本七平賞受賞。同大法学研究科講師など歴任。
※この記事は月刊「正論1月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。
■ ■ ■月刊「正論1月号」好評発売中■ ■ ■
★百田尚樹が激白 働き者は日本人の宝じゃないか 映画公開「海賊とよばれた男」秘話も!
× × ×
【総力特集】 トランプ大統領
★あの日、リベラルの敗北が始まった 産経新聞ワシントン駐在客員特派員 古森義久
★日米マスコミが読み間違えた世界の潮流 作家・ジャーナリスト 山村明義
★中国は?中東は? どうなるアメリカ外交政策 福井県立大学教授 島田洋一
★アメリカ覇権戦略の失敗が、孤立主義を生んだ 国際政治・米国金融アナリスト 伊藤貫
★日本もさすがに平和ボケから目覚めなければ… 評論家・拓殖大学客員教授 潮匡人
★意外に正しいトランプの「暴論」 評論家 江崎道朗
★おなじみ米国W論客がメッタ斬り 米カリフォルニア州弁護士 ケント・ギルバート & 元駐沖縄米軍海兵隊政務外交部次長 ロバート・D・エルドリッヂ
× × ×
【特集】進まぬ憲法改正
★党四役に大物改憲派が迫る! 自民党にまかせて本当に大丈夫ですか 自民党選挙対策委員長 古屋圭司 VS 杏林大学名誉教授 田久保忠衛
★トランプに言われる前に9条を変えたら? 米カリフォルニア州弁護士 ケント・ギルバート
★誤字、重複、意味不明…日本国憲法のヘンテコ文章 元PHP総合研究所社長 江口克彦
× × ×
【特集】「生前退位」でいいのか
★これが有識者会議の論点だ 麗澤大学教授 八木秀次
★何が天皇様の大切なお仕事か 東京大学名誉教授 平川●(=示へんに右)弘
★特措法で例外としてなら… 国士舘大学大学院客員教授 百地章
★護憲派よ、立憲主義はどこへ行った? 評論家・拓殖大学客員教授 潮匡人
× × ×
【特集】 「死刑廃止」宣言
★存続派 高橋正人弁護士インタビュー 日弁連と朝日新聞は被害者の気持ちを考えたのか
★単なる報復ではない極刑の理論 評論家 小浜逸郎
× × ×
シリーズ対談 日本が好き! アーティスト 土屋アンナ & ジャーナリスト 井上和彦
★アジアの暴言王 側近に独占インタビュー ドゥテルテの正体 ジャーナリスト 大高未貴
★シリーズ日本虚人列伝「宮崎駿」 評論家 渡辺望
★三笠宮殿下は男系を守ろうとされた 作家 竹田恒泰
★いかにすれば北方領土返還が可能になるか 北海道大学名誉教授 木村汎
★あの産経元ソウル支局長が激白「だから言ったでしょう、朴槿恵さん」 産経新聞社会部編集委員 加藤達也
★混迷の韓国 次は過激な親北政権? 東京基督教大学教授 西岡力