月刊正論1月号

三笠宮崇仁親王殿下は男系を守ろうとされた 作家・竹田恒泰

小泉政権下の皇位継承議論

 かつて「赤い宮様」と詰られたこともある三笠宮殿下だが、小泉政権下で女性天皇・女系天皇を容認する皇室典範の改定が議論された時には、明確にこれに反対のご意見をお持ちになったという。以前の殿下の考え方に立てば、「万世一系」は神話要素を含むものであるから歴史的事実と断定できないと仰せになってもおかしくはない。ところが、殿下は伝統的な皇位継承原理に変更を加えることを良しとなさらなかった。 たしかに、殿下はこの問題について御自身のご意見を公表していらっしゃらない。しかし、ご子息の寛仁親王殿下が、崇仁親王殿下と妃の百合子殿下が共に女性・女系天皇に反対であられることを公言なさった。私も寛仁親王殿下からそのことを直接伺った。小泉政権が女性・女系天皇を成立させる動きをしたのに対し、寛仁親王殿下は、これに反対するご意見を福祉団体である柏朋会の機関誌に寄稿なさった。このことが、読売新聞によって拡散された時に、寛仁親王殿下は、お母様の百合子殿下に電話なさり、「読まれましたか?親父はどう考えているのかしら?」とお尋ねになったという。この時のことは次の様に記事にお書きになっていらっしゃる。  

 「本当は、私〔寛仁親王殿下〕が発言するより皇族の長老である父〔崇仁親王殿下〕に口火を切ってもらいたかったわけです。すると、母〔崇仁親王妃百合子殿下〕の話では、父は宮内庁次長を呼んで、あまりに拙速な動きについてクレームをつけているということでした。これは去年〔平成十七年〕の十月ぐらいの話です。ああそうか、それは結構なことだ、もっとどんどんやって欲しいなと思いました。それから『お袋は女帝・女系になったら大変なことになること、わかっているの』と聞いたら、『もちろん大変なこと』だと言っていました。その後、父が年末に来たときに、『いいことを言ってくれたね』と、一言いって、さらに『八人の女帝』(高木きよ子著)という単行本を『読んでおいて欲しい』と持ってきて、それから月刊『文藝春秋』一月号に工藤美代子さんがお書きになった論文を、『私の意見はこれと同じである』と、娘の分までコピーして持ってきてくれました。ですから三笠宮一族は、同じ考え方であると言えると思います」(寛仁親王殿下「皇室典範間題は歴史の一大事である~女系天皇導入を憂慮する私の真意」『日本の息吹』平成十八年二月号。ただし〔 〕内は筆者注) 

 寛仁親王殿下が仰せのように、本来なら皇族の長老であられる崇仁親王殿下が意見を表明なさればより重みがあったであろう。しかしながら、ご子息の寛仁親王殿下も大変なご覚悟の上でご発言になったことと拝察される。そのようなご覚悟で寛仁親王殿下がご発言になったことにつき、お父様の崇仁親王殿下は「いいことを言ってくれたね」と仰せになっただけでなく、同意見の論文をお孫様の文までコピーしてご持参になったというのであるから、余程強い信念をお持ちのことと思う。

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