西論

地震風評被害 鳥取へ行こう、それこそが支援だ

鳥取中部地震から1カ月を前に、鳥取県の境港市観光協会は「水木しげるロード」に、新たに設置するブロンズ像18体の制作費などを負担するスポンサーを募集すると発表した=11月1日 
鳥取中部地震から1カ月を前に、鳥取県の境港市観光協会は「水木しげるロード」に、新たに設置するブロンズ像18体の制作費などを負担するスポンサーを募集すると発表した=11月1日 

ただでさえ疲弊する地方を窮地に追い込む脅威が自然災害である。直接被害に加え、昨今は風評という二次被害の大きさがクローズアップされる。とりわけ観光立県にとって風評被害の影響は深刻だ。10月21日、鳥取県中部で最大震度6弱を観測した地震では、被害のない地域にも宿泊キャンセルが拡大し、客足は今も戻っていない。関西圏とつながりを強めてきた鳥取県の苦境に、私たちができる支援があると考える。

「鳥取は元気です」。地震から約2週間後の11月初旬、取材のため鳥取に向かう特急「スーパーはくと」で、車内アナウンスを聞きながら、巧みなメッセージだと、ふと思った。

被害は主に県中部に限られ、県西部や東部の被害はほとんどない。にもかかわらず、旅館・ホテルの宿泊キャンセルがあっという間に県全域に広がり、そのときすでに約1万3千泊分にも上っていた。風評を押さえ込むために「被害は一部地域しかありません」と言い切ると、自宅が壊れた被災者らから被害を過小評価していると批判が出る恐れがある。さまざまな立場に配慮しながら、鳥取がいつも通りに観光客を受け入れられることを明確に伝える言葉が「元気です」なのだと受け止めた。

被害は限定的だが…

住宅被害は震度6弱を観測した県中部の倉吉市、北栄、湯梨浜(ゆりはま)両町を中心に約1万3千棟に及んだものの大部分が一部損壊で、幸い死者はなかった。倉吉市に近い三朝(みささ)温泉など県中部の宿泊施設も大半がすぐに営業を再開したが、県東部の鳥取砂丘や県西部の水木しげるロードでも観光客が激減する事態に陥った。

背景には、被害情報は大きく取り上げられる半面、被害がないという情報は発信されにくいニュースの特性と、「鳥取地震」と報道されたことも相まって、県全域が一様に被害を受けたとみなされてしまったことがある。