この言葉は、柚月さんの持論でもあるという。「絶対に立ち直れないと感じることは誰もが経験すると思う。でも人生は晴れと雨が半分ずつと思えば、いつか半歩前に踏み出せる日が必ずくると感じられるはず」
悩み苦しむ神場が過去とどう決着をつけるのか-。生きることの意味を考えさせられる傑作だ。(中島高幸)
【プロフィル】柚月裕子
ゆづき・ゆうこ 昭和43年、岩手県生まれ。平成20年、『臨床真理』で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。25年、『検事の本懐』で大藪春彦賞受賞。『孤狼の血』は直木賞候補にもなった。