浪速風

真珠湾訪問には今日的な意味がある

司馬遼太郎さんは真珠湾攻撃から50年にこう書いた。「昭和前期(元年から二十年まで)にはげしく欠けているものは、他国や他民族への思いやりである。もっともこれは、日本だけでなく二十世紀前半の特徴といえるかもしれない」(平成3年12月7日付「風塵抄」から)。似てはいないだろうか。

▶日本ではない。最近の世界を見回してである。トランプ次期米大統領は「米国第一」を掲げる。オーストリアでは極右の大統領候補が僅差で敗れたが、難民排斥で支持を集めた。イタリアの憲法改正を問う国民投票は、排外主義的な野党の反対運動によって否決され、首相が辞意を表明した

▶中国がわが物顔に振る舞うのは今に始まったことではない。自国だけよければという狭隘(きょうあい)さが何をもたらすかは、歴史を顧みればわかる。年末に安倍晋三首相が、オバマ米大統領とともに真珠湾を訪問する。いつか来た道をたどらない決意を世界に示す、大きな意味がある。