刑務所を出た人の再犯を防ぐための取り組みを国と自治体の責務と明記した議員立法「再犯防止推進法」が7日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。仕事や住居、身寄りがないため、社会復帰が困難な出所者の支援を強化し、再犯を抑制する。法務省は専門の部署「再犯防止推進室」を設置し関係省庁とも連携を取りながら対策を進める。
法務省によると、平成26年に刑務所を出た人が2年以内に再び入所した割合は18.5%。また「再犯者率」(摘発された人に占める再犯者の比率)は、48%(27年)に上り、年々上昇している。
同省は出所者を雇用する「協力雇用主」に奨励金を出したり、厚生労働省と連携して出所者の福祉サービスを速やかに行うなどの施策に取り組んでいるが、今回の法制化でより総合的、計画的な対策を目指す。
法案には、矯正施設に収容中だけでなく社会復帰後も途切れることなく支援する-などの基本理念が盛り込まれた。
国は、再犯防止に向けた教育、職業訓練の充実▽職業や住居の確保-などについて推進計画を策定する。都道府県や市町村もそれに基づいて、地域の状況に応じた計画を立てる努力義務を負う。国民の関心と理解を深めるために、毎年7月を「再犯防止啓発月間」とすることも盛り込まれた。
法務省の「再犯防止推進室」で計画案の作成などを行うほか、犯罪対策閣僚会議の下に関係省庁の局長級で構成する会議を新たに設け、詳細を検討する。