教育機会確保法成立 「落後者レッテルから解放」支援者評価も課題残る

参院本会議で教育機会確保法が可決、成立=7日午後、国会(斎藤良雄撮影)
参院本会議で教育機会確保法が可決、成立=7日午後、国会(斎藤良雄撮影)

 参院本会議で7日、不登校の児童生徒を国や自治体が支援する教育機会確保法が可決、成立した。支援者からは学校外の場の重要性を認めたことを評価する声が上がるが課題も浮かぶ。

 「後ろめたさを持たざるを得ない不登校の子供たちが落後者というレッテルから解放される」。横浜市でフリースクールを運営するNPO法人「楠の木学園」の武藤啓司理事長は法案成立を歓迎し、「行政だけでなく民間の力も借りて支援することを認めた点で意味がある」とした。

 同法は、国や自治体に児童生徒の状況の継続的な把握と、児童生徒や保護者への情報提供などを求めているが、既に支援活動に取り組んでいる自治体もある。

 神奈川県教育委員会は平成18年にフリースクールなどとの協議会を設置し、相談会や進路情報説明会を定期的に開催するなど早くから連携に取り組んできた。

 子ども教育支援課は「フリースクールは今でこそ認知が進んでいるが、協議会設置当時は学校と相反するような印象があった。事業を通して互いの考えを理解することができた」と指摘する。

 だが、自治体とフリースクールとの連携は必ずしも進んでいない。文部科学省が今年2月に実施した都道府県とフリースクールなどのある市区町村の288教委に対する調査で、「特に(フリースクールなどとの)連携の取り組みを行っていない」と回答した教委が153に上った。同法の施行で、自治体側の意識改革とともに連携が進むか注目される。

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