民事裁判に出席した弁護士が名前を記入する「出頭カード」に他人の名前を申請していたケースが昨年以降、東京地裁で3件あったことが6日、分かった。いずれも東京弁護士会所属の若手弁護士。法廷では身分確認までは求めておらず、地裁は「裁判所と弁護士の信頼関係を損ねる行為」として、再発防止を求めた。
法廷に置かれた出頭カードに基づいて地裁が裁判書類を作成するため、結果的に虚偽の公文書となる可能性がある。
今年5月には、裁判期日に若手弁護士が1人で出席。カードには、この弁護士が所属する弁護士法人の代表の名前が印刷されており、本来は若手が自分の名前を記入すべきところを代表の名前に丸をつけた。若手は「代表の名前に丸をすれば法人の所属弁護士が出席したことになると思った」などと話したという。
いずれの事例でも、他人の名前を申請していることに書記官などが気づき、発覚した。
東京弁護士会長は9月、「弁護士に対する信頼を前提として、身分証明を特段要求していない法廷実務の慣行を崩壊させかねない」とする緊急談話を発表、注意を呼びかけている。