別府、由布院に湧きあがる反対 温泉マーク経産省案「混浴と誤解される」 大分

 「温泉マーク」を国際規格に変更する経済産業省の案に対し、「おんせん県」を標榜する大分をはじめ、関係者から反対意見の表明が相次いでいる。2020年の東京五輪・パラリンピックの開催に向け、外国人観光客に分かりやすくする狙いだが、変更か存続か、調整が難航する可能性がある。

 日本で温泉といえば、楕円形から3本の湯気が立ち上るマークが広く認知されている。ただ経産省は、外国人に「温かい料理を提供する店」と誤解されるとして、入浴する人も描いた記号への変換を打ち出した。

 大分県の別府温泉と由布院温泉は反対の立場を鮮明にした。

 別府市旅館ホテル組合連合会の西田陽一副会長は、3人の人物が入湯している様子を示す国際規格は「日本人に混浴と誤解されるのではないか」と危惧した。

 別府市が行った温泉のある全国の自治体へのアンケートでは、回答した57自治体のうち過半数の36自治体が「現在の方が良い」と答えたという。

 群馬県安中市の磯部温泉も反対する。

 江戸時代の文書に、温泉の位置を示す温泉マークそっくりの絵図が描かれていたことから、温泉マーク「発祥の地」とうたう。

 安中市は9月、観光協会などと連名で、現マークの存続要望書を経産省に提出した。市の担当者は「外国人に分かりやすくする必要性はあるが、伝統も大事にしてほしい」と訴える。

 これまでに経産省には、計約50件の反対意見が寄せられており、担当者は「慎重に検討して決めたい」と話した。

会員限定記事会員サービス詳細