健康カフェ(60)

楽器の演奏 リハビリや認知症予防の効果も

 1年前に脳梗塞を起こした80代前半の男性は、右手に軽い麻痺の後遺症があります。そのリハビリと認知症予防を兼ねて、ギターを習い始めたと教えてくれました。「そのうち先生に聴かせてあげますよ」と楽しそうです。

 脳の血管が詰まる脳梗塞や血管が破れる脳出血などの脳卒中を起こすと、脳のダメージを受けた場所により、さまざまな症状が体に表れます。中でも多いのが、手や足が動かしにくくなる麻痺の症状です。できるだけ元の状態に近づけようと行うリハビリには歩行訓練や物をつかむ練習などいろいろですが、楽器の演奏もその一つです。

 楽器の演奏は繰り返し行うことが大事ですが、このことが神経的なリハビリに有効なことが分かっています。繰り返し行う動作には、失われた運動機能にかかわる脳の回路を修復する効果があるのです。演奏は、音を聴いたりタイミングを取ったりなどいろいろな体の動きを統合して行っています。これは、体全体の動きを調整するのに役立つと考えられています。麻痺の程度によって、打楽器による簡単な演奏から、ピアノやギターの楽曲など、練習の選択肢も数限りなくあります。

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