川村元気さん「四月になれば彼女は」 恋を忘れた男女、揺さぶる記憶

川村元気監督
川村元気監督

 多くのヒット映画をプロデュースし、作家としても活躍する川村元気さん(37)が2年ぶりとなる小説『四月になれば彼女は』(文芸春秋)を出した。恋する気持ちを忘れた大人たちの苦くて切ない物語は、現代を生きる男女の葛藤を鮮やかに映す。

 主人公の精神科医・藤代は、婚約者である獣医師の弥生と都心のマンションで同棲(どうせい)している。忙しく仕事をこなし、挙式の準備も順調だ。そんな藤代のもとに長い手紙が届く。9年前、ある事件をきっかけに別れた大学時代の恋人からだった。なぜ今?-。学生時代の恋の記憶もつづられた手紙を導き手に、過去と現在を行き来しながら藤代たちの1年が描かれる。

 「恋愛を書く、と決めて取材を始めて驚いたんですよ」と川村さん。取材した30〜50代の男女の大半が長らく恋をしていなかったからだ。「かつて熱烈な恋をしていたのに、その感情がごそっと欠落して何もなかったかのように生きていた。理知的で自制心のある大人になったけれど同時に大事な何かを失っている。だったら、避けがたく気持ちが離れてしまった男女が恋のカケラを求めてあがく話を書けばいいんだ、と」

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