東京都荒川区は20年、野良猫やカラスなどに餌を与えることを罰金付きで禁止する全国初の条例を制定した。25年には新潟市で、野良猫に餌をやる場合は不妊・去勢手術などを行う努力義務を課す条例が施行された。
関西でも、京都市が昨年7月、餌をやる際には周辺の住民の生活環境に悪影響を及ばさないようにしなければならないと定めた条例を施行。和歌山県でも同様に餌やりのルールを定めた条例が来年4月から適用される。ただ、餌やりの規制については、いずれの自治体にも「野良猫が餓死する」などといった批判が多く寄せられたという。
殺処分減らすのが狙い
これに対し、神戸市の条例は、殺処分を減らすためNPOやボランティアが進めている「捕獲し(Trap)、不妊・去勢手術を施し(Neuter)、元いた場所に戻す(Return)」というTNR活動に着目した。市によると、27年度に殺処分した673匹の約9割が子猫で、繁殖を制限することで殺処分数を減らせるとしている。
同市は、地域の住民らが野良猫に不妊・去勢手術を施した上で、餌やりなどをする「地域猫活動」を推奨しているが、地元の同意が得られず、活動が進まない課題も抱える。市内でTNR活動を行うNPO法人「神戸猫ネット」理事長の杉野千恵子さん(68)は「これまでは地元の依頼がなければ動けなかったので、大歓迎」と条例成立を喜ぶ。