さて、今週ご紹介するエンターテインメントは久々となるエンタメの王道、映画のお話でございます。
今年9月16日付の本コラム「中国に媚び『万里の長城』映画、でもマット・デイモン主役…ハリウッドご都合主義人種差別世界が激怒」
でご説明したように、2017年には米を抜き、世界最大の映画市場に成長するとみられる中国に米ハリウッドが媚(こ)びまくる半面、当の中国人はハリウッド大作にいよいよ飽き始めている、といった状況をご紹介しました。
▼中国に媚び『万里の長城』映画…ハリウッドご都合主義人種差別世界が激怒
http://www.sankei.com/west/news/160916/wst1609160001-n1.html
平たく言えば、中国の映画ファンの目が肥えてきたというわけですが、どうやら中国では映画ファンだけでなく、映画産業自体も進化を遂げ、ハリウッド映画に頼らずとも国産映画で現地の映画ファンのニーズを十分満たせる時代が遠からずやってくるというのです…。
にわかには信じ難いですが、今週の本コラムではそんな中国の映画産業の動向についてご説明いたします。
■製作レベル急上昇…中国の学生1900万人、法律・経済学・数学・化学よりも「映画」を学ぶ
いつものように本コラムのネタ探しのため欧米主要紙の電子版を巡回していて、興味深い見出しの記事に目が留まりました。「Hollywood’s golden age in China is coming to an end(中国でハリウッドの黄金時代が終わりを迎えようとしている)」
11月25日付の米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版)の論説記事です。執筆者は中国の北京大学光華管理学院のジェフリー・タウソン教授(専門は投資学)…。
どういう記事かと言いますと、ハリウッドの大手映画会社は現金を豊富に持つ中国の大富豪と多くの作品を共同製作し、そうした作品では中国のスターが脇役として登場したり、中国文化を称賛するような場面をランダムに挿入するなどして現地の人気を獲得してきたと説明。
中には、2015年公開のハリウッドのアクション大作「ワイルド・スピード SKY MISSION」のように、米国の興行収入が3億5300万ドル(約399億円)だったのに、中国では3億9000万ドル(約441億円)と本国を上回る成功を収めた作品まで出てきたと評価します。
しかし、その裏で中国の映画会社との競争が激化。2005年に上映された現地の映画会社製作の作品は43本だったが、2014年には何と約7倍の308本に激増したと明かします。