花形出番です

人の心に残る仕事を 歌舞伎俳優・中村隼人さん(23)(1)

(荻窪佳撮影)
(荻窪佳撮影)

 初舞台は平成14年、「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ) 寺子屋」の松王丸一子、小太郎役です。当時8歳で、「歌舞伎座の花道はこんなに長いのか」と思ったことを覚えています。緊張のあまり、母親役の(坂東)玉三郎のお兄さんの手を力いっぱい握ってしまい、玉三郎さんが「痛いわ」とおっしゃったことを覚えています。

 父(中村錦之助)の方針で、子役時代から舞台に立ち続けてきましたが、立役になるきかっけを作って下さったのも玉三郎さん。女形を勉強していたとき、玉三郎さんが「立役がいい」とご教示下さり、「関の扉(と)」の宗貞(むねさだ)役に抜擢(ばってき)して下さったんです(22年)。

 高校進学時に役者になると決めたものの、こうしていろいろな先輩に引き上げていただき、恩返しできる立場になりたい、人の心に残る仕事をしたい、という思いで今日までやってきました。

 最近も大きなチャンスに恵まれ、昨年10月に原作の漫画も大好きだった「スーパー歌舞伎II(セカンド)ワンピース」に出演できたことは大きな経験になりました。基本は(座頭の市川)猿之助のお兄さんがおっしゃいますが、新作ですから自分なりに眉毛の化粧や小物も工夫した。一番好きなサンジと、イナズマの2役を納得いくように演じられ、お客さまの反応が日々、良くなる実感があった。原作と歌舞伎、両方のファンに喜んでいただけて、とてもうれしかった。

 本水の立ち回りがあり、体力的にはきつかったですが、これを乗り切れたことで今年5月、歌舞伎初のラスベガス公演に出演することもできました。(談)