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画期的モバイル電源に…水素を廃棄物から生成する触媒技術、阪大が世界初提案

 開発された触媒は、ヒドロシランと水から水素を発生させる反応を促進する金(金ナノ粒子触媒)を直径1・9ナノ(1ナノは10億分の1)メートルという超微粒子にしたうえ、凝集しないように骨の主成分であるヒドロキシアパタイトという無機物の上に散らばらせて調製することに成功した。この結果、反応に関わる金の粒子の表面積が増えたことになり、大気中、室温という外部からのエネルギー導入が必要のない条件で各段に高効率で水素が発生した。

 さらに、この触媒は、溶液に溶け込まない固体触媒なので、取り除いて反応を止めたり、再利用したりできる。このため、水素を貯蔵するボンベにつめて加圧したり、冷却したりする必要はなく、小型で軽く、容易に持ち運びできる水素発生装置への実用化が期待される。

 研究グループでは、スマートフォンの充電などに使われる小型燃料電池の水素生成部に組み込んだり、安定な化合物で構成されて劣化しないので、災害時の非常電源として長期保管したり、とさまざまな用途が考えられる、としている。

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