都市を生きる建築(82)

「大阪らしさ」に頼らない日本一の超高層建築「あべのハルカス」

【都市を生きる建築(82)】「大阪らしさ」に頼らない日本一の超高層建築「あべのハルカス」
【都市を生きる建築(82)】「大阪らしさ」に頼らない日本一の超高層建築「あべのハルカス」
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 「大阪らしさ」が薄いビルだと、あべのハルカスは思われるかもしれない。2014(平成26)年に完成したタワー館は高さ300メートル、日本一の超高層建築だ。構造物の高さとしても東京スカイツリー(634メートル)、東京タワー(333メートル)に次いで全国で3番目。地上60階、地下5階の床面積の合計は大阪ドーム9個強(約30万6千平方メートル)に及ぶ。しかも、百貨店、オフィス、ホテルなどと機能がさまざまで、一つの街が生まれたようなものだ。

 でも、あべのハルカスは、あくまでクールである。高さを決める際に634(ムサシ)のように洒落(しゃれ)るわけでもない。最上部を塔のように突き出すのでもない。日本最大のターミナルビルでもあるのだが、近畿日本鉄道のロゴ一つない。ガラスの箱のようにシュッと建っている。

 それが良い。ありきたりの「大阪らしさ」に頼っていないから、自分の大阪を見つけられる。16階からエレベーターに乗って、60階までたったの50秒。3層吹き抜けの展望台「ハルカス300」は、地上と異なる視点を思い思いに楽しめる場所だ。

 北は横の「通り」と縦の「筋」からなる整然とした市街。西側に移ると大阪湾、橋、工場群と物の大きさが増す。南には鉄道会社によって広がった街並みがうねうねと続き、東側の屏風(びょうぶ)のような生駒山地を眺めると、1914(大正3)年にここに生駒トンネルを開通させた近畿日本鉄道の前身・大阪電気軌道の偉業が納得できる。あべのハルカスの展望台は特別な位置にある。中心市街の南端に建っているから、しっかりとした大阪の骨格をつかめる。その上でエリアや建物の関係性が分かる。