被災者の苦難に追い打ちをかける悪質ないじめが、横浜市に続いて新潟市でも明らかになった。
「過剰に福島県産品を排除したり、原発事故の賠償金を受け取る避難者を陰で批判したりする大人の姿を目にすることがあったからこそ、同級生を菌扱いするなどの言動につながったのではないか」。相次ぐ原発避難先でのいじめ問題の背景をこう分析するのは、避難者支援を続けてきた新潟県柏崎市のボランティア団体代表、吉田建夫さん(70)だ。
平成23年3月の東日本大震災発生直後から柏崎市内で福島県からの避難者を支援する活動を続け、偏見や差別を恐れて出身地を明かそうとしない避難者の姿も見てきた。
吉田さんは「子供の第一の情報源は家庭での会話。風評被害もいじめと変わらない」と指摘。同じ原発を抱える土地だからこそ、「苦労を分かち合うことができるのではないか。思いやりの心を教えない教師や周りの大人たちは許し難い」と訴える。
「かながわ東北ふるさと・つなぐ会」会長で、福島県富岡町から横浜市内に避難している今里雅之さん(69)は「表面化していないだけで、全国で起きているはずだ」とみる。