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電通の新入女性社員で、過労自殺した高橋まつりさん=当時(24)=の遺族代理人を務める弁護士、川人博(かわひと・ひろし)氏(67)の講演会が11月29日、東京都千代田区の日本記者クラブで開かれた。川人氏は、長時間労働の歴史的背景や、電通の企業体質の問題点などについて話し、早急に対策を講じるよう訴えた。
電通には厚生労働省東京労働局などが家宅捜索に入り、午後10時には全館で消灯されるなどの対策が行われているが、恒常的な人手不足の一方で業務量が減り、働く環境が改善されるかは不透明だ。高橋さんは最長で月に約130時間の長時間残業を強いられていたという。
《川人氏は1949年、大阪府泉佐野市生まれ。78年に弁護士登録。88年に「過労死110番」の設立に参加するなど過労死問題に取り組んできた》
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過労死問題は戦前にも…
川人弁護士「自己紹介します。1988年から『過労死110番』という過労死問題に取り組む活動をしてきました。現在、民間団体や政府の仕事をしています。過労死の問題は戦前日本、殖産興業の時代から明治大正、昭和初期とさかのぼって考えなければいけないと思います。まずは用意した映像を見ていただきたいと思います。昭和2年に半年で47名の製糸業の女子工員が投身自殺をおこしたという報道です。当時の民間団体が諏訪湖への投身自殺を防止しようと、立て札を立てたり、巡回して防止する活動を行った。この団体は吉野作造さん(1878~1933年、大正デモクラシーを指導した思想家)や市川房枝さん(1893~1981年、婦人参政権獲得に尽力した婦人運動家)なども参加していたということです」