皮膚が黒くなる原因物質「メラニン」の色素が皮膚表面へ運ばれるメカニズムを世界で初めて動画撮影したと、京都大大学院理学研究科の高橋淑子教授(発生生物学)らの研究チームが2日付の英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」で発表した。チームは特定のタンパク質の働きを抑えるとメラニン色素が表皮に運ばれる数が減少することも確認。研究成果を人に応用できれば、しみやそばかすを防ぐ「美白化粧品」の開発などに役立つ可能性があるという。
皮膚は紫外線から人体を守るが、メラニンがうまく機能しなければ、皮膚がんなどが発生する原因になる。高橋教授は、「メラニンの動きはこれまでブラックボックス(不明)だったが、メカニズムの一端を解明できた」と話している。
チームによると、メラニンの色素細胞の分布が人間と似ているニワトリの胚を使用。ニワトリ胚の脇腹周辺の細胞組織を取り出し、高機能の顕微鏡で動画撮影した。その結果、メラニンの顆粒(かりゅう)を包んだ「膜小胞」が色素細胞から切り離され、隣の表皮細胞へ取り込まれる瞬間を捉えることに成功したという。
さらに、遺伝子操作で色素細胞にあるタンパク質「Rho(ロー)」の働きを抑えると膜小胞の放出などが減り、皮膚の色がつきにくくなることも突き止めたとしている。