組対1課によると、事件発覚のきっかけは今年2月の東京入管からの通報だった。内偵を進めた結果、同6月に茨城県内の会社で不法就労していた中国人男女2人を逮捕し、7月に国外退去させた。
その後も地道な捜査を続けた末に、黒幕である岡野容疑者にまでたどり付いた。
中国人社会に独自のコネクション…失踪者であることは「知っていた」
一連の捜査で外国人8人の不法就労が判明。ほとんどが中国人で、このうち7人が失踪した技能実習生だったという。
調べでは、岡野容疑者は約3年10カ月の間にのべ289人の外国人を取引先に派遣。その半数以上が不法滞在者で、これまでに約2億2千万円を売り上げ、約6600万円の利益を手にしていたとされる。
「在留資格がないことや研修先から逃亡してきたであろうことは知っていたが、どうでもよかった」
取り調べに対し、こう供述した岡野容疑者は15年3月に中国から来日した日系3世。23年9月に日本に帰化した。中国人社会にネットワークを持っていたのに加えて、24年ごろから自身も派遣労働者として働いていたという。
ブローカーとして暗躍するために、「自身の出自や経験をフル活用していた」(捜査関係者)。