働きながら技術を学ぶ「技能実習制度」で来日した外国人の失踪(しっそう)が、社会問題化している。このうち中国人の失踪は過去5年間で1万人超。疑問として残るのが「失踪者はどこで何をしているのか」だ。その答えの一端が警視庁の捜査で明らかになった。失踪中国人をビジネスにしていた女社長が摘発されたのだ。社長は中国人社会に独自のネットワークを持ち、不法滞在の中国人らを集めて食品加工会社に派遣していた。技能実習制度を食い物にしていた格好で、改めて制度の深い闇が浮かんだ。
1Kの部屋に身を潜めていた3人の外国人
茨城県つくば市の住宅街にたたずむ2階立てアパート。10月27日、その一室に警視庁組織犯罪対策1課の捜査員が踏み込んだ。
約19平方メートルの1Kの部屋で息をひそめていたのは、いずれも30代の中国人男性2人とスリランカ人男性1人。3人は技能実習生として来日し、その後に実習先から逃げ出して不法滞在となっていた。関係当局の監視の目を逃れて身を寄せていたのだ。
部屋を提供していたのは、会社社長の岡野美佳容疑者(38)=入管難民法違反(不法就労助長)容疑で逮捕=だった。