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宝塚歌劇団の理事で専科スター、轟悠(とどろき)主演の宙(そら)組公演「双頭の鷲」(脚本・演出、植田景子氏)が兵庫・宝塚バウホールで上演されている(12月3日まで)。ジャン・コクトーの戯曲をもとにしたミュージカル。轟は「孤独と破滅、そして愛を表現したい」と語る。神奈川・KAAT神奈川芸術劇場は12月9日〜15日。
宝塚の象徴ともいえる男役スターのキング。今回相手役を務める宙組娘役トップの実咲凛音(みさき・りおん)と床に横たわる今作の官能的なポスターにも男の色香が漂う。「モノトーンをテーマにした世界観で撮りました。舞台のセットも透明と白色が基調で心情によって色が見えるんです」と笑顔で話す。
婚礼の夜に暗殺された国王10年目の命日に、王妃(実咲)の部屋へ、王妃暗殺の機会を狙う無政府主義者、スタニスラス(轟)がケガを負い、逃げ込んでくる。孤独に生きる2人は瞬時に惹かれ合うが…。
原作の戯曲は、コクトーが皇后エリザベートの暗殺事件から着想して書かれた。王妃と暗殺者、という構図は、宝塚の代表作の1つ「エリザベート」と似た部分を感じるという。「大きく違うのは、スタニスラスには王妃への愛がある。詩的な表現もあり、くすぐったいですが(笑)、舞台で観客を引き込んでいけたら」
轟は日本初演となった1996年の宝塚雪組公演「エリザベート」で、皇后を暗殺するルキーニを演じた。当時の同組トップ、一路真輝(いちろ・まき)のもと、「自由にやらせてもらった。あの役で、共演者を感じながら、自分がどうあるべきかを教えられた」と振り返る。