宏池会は宮沢氏を最後に四半世紀近く首相を誕生させていない。第2次安倍晋三政権発足後は、首相官邸側が政権運営の主導権を握る「政高党低」が続いていることも、民進党内が「宏池会ブーム」に沸く一因となっているようだ。
こうした民進党内の「保守本流」争いに、岸田派議員は冷ややかだ。
ある若手は「本家はわれわれ。民進党内に似た勢力ができあがったとしても『宏池会もどき』でしかない」と自負心をみせる。玉木、細野両氏については、岸田派会長で「ポスト安倍」候補の一人とされる岸田文雄外相と比べ「格が違う」と切り捨てた。
民進党の保守系議員の苦しい事情を察する岸田派議員もいる。「相当左巻きの勢力がいる民進党では、相当右巻きの勢力を打ち立てるのは難しい。野党だから安倍政権と同じ路線も取れない」と解説。「保守的な政策を掲げながらも宏池会の要素を取り入れていくしか、現実的な落としどころがないのだろう」と推察する。
共産党との選挙協力に傾く民進党にあって、にわかに盛り上がる「保守本流」ブーム。泉下の大平氏はどう見ているだろうか。