豊田真由美の野党ウオッチ

目指せ「宏池会」!?…共産党との共闘が注目される民進党内の寂しき「保守本流」の争い

 さらに「出席者はほとんど反主流派の人」「(現執行部の)足を引っ張るつもりはないが、自滅されたときに受け皿をつくっておかないといけない」などと、蓮舫代表ら現執行部と一定の距離をおく考えも強調した。

 玉木氏は、大蔵官僚から首相に上り詰めた大平氏と同じ香川出身。代表選では「今の自民党には自由でリベラル、包容力のある真の意味での保守の考えがなくなっている。敵をつくり相手をたたいても国民は幸せにならない。『リベラル保守』を党の大きな考えにしたい」と表明した。

 この考え方は、大平氏も領袖を務めた宏池会をほうふつさせる。宏池会は大平、池田勇人、鈴木善幸、宮沢喜一の4首相を輩出した自民党の名門派閥で、「保守本流」を自任するハト派と位置づけられている。玉木氏は大平氏の持論である「楕円の哲学」を理想としているといい、包容力のある「リベラル保守」が宏池会を意識した概念なのは明らかだ。

 民進党内で宏池会を意識にしているのは玉木氏だけではない。党内唯一の派閥である細野派も、寛容で穏健な保守を体現していた大平派時代の宏池会を目指しているという。細野派幹部は「今の宏池会は存在感がない。そこをわが派が担いたい」と、岸田派のふがいなさも理由だと説明する。

 また、過去には岡田克也前代表や枝野幸男前幹事長も、党の目指すべき立ち位置を説明する際に宏池会を引き合いに出したことがある。

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