梯久美子さん「狂うひと」 島尾ミホの評伝 「死の棘」をめぐる夫婦の壮絶な闘い(1/4ページ) - 産経ニュース

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梯久美子さん「狂うひと」 島尾ミホの評伝 「死の棘」をめぐる夫婦の壮絶な闘い

梯久美子さん「狂うひと」 島尾ミホの評伝 「死の棘」をめぐる夫婦の壮絶な闘い
梯久美子さん「狂うひと」 島尾ミホの評伝 「死の棘」をめぐる夫婦の壮絶な闘い
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  夫婦愛の極北を描いた『死の棘』で知られる作家、島尾敏雄が亡くなって今年で30年。ノンフィクション作家、梯久美子さん(55)の新作『狂うひと』(新潮社)は、小説のモデルとなった島尾の妻、ミホさんの評伝だ。新たに判明した敏雄の日記やミホのメモ、10年に及ぶ綿密な取材により、新たな夫婦像に光を当てた。(村島有紀)

 「そのとき私は、けものになりました」

 歌うように語るミホの言葉から本書は始まる。

 梯さんは『海辺の生と死』などのミホの小説を読み、そのおおらかで野性味あふれる感性に魅せられ、平成17年11月から18年2月まで計4回、奄美大島の自宅に通いインタビューした。4回目にミホは、『死の棘』の冒頭部分、日記にあった夫の浮気の記述を読み、嫉妬に狂ったことを話し始めたという。

 「大正期に生まれ、戦争で運命を変えられた女性の一代記を書くつもりで奄美に通っていた。その時から『死の棘』のモデルとしてのミホさんにも興味を持った」と話す。

 約1年後、ミホは87歳で死去。梯さんは、遺族に評伝執筆の意向を伝え、承諾されたことから、自宅に残された夫妻の膨大な未発表資料に目を通すことになった。