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「また、骨折か…」
10月初旬の夕方、埼玉県北本市の整形外科医院。公立高校2年生(17)=鴻巣市=は真っ赤に腫れた右足首に目を落とし、ため息をついた。
低い段差につまずき、足首をひねった。小学生で1回、中学生で2回、高校生になり今回で2回目だ。
「人より関節が硬いのかな…」。医師の診断は聞いたことのないものだった。「ロコモティブシンドローム(ロコモ、運動器症候群)」
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ロコモは体を動かすのに必要な関節や骨、筋肉など「運動器」が機能不全を起こした状態で、骨折や捻挫を誘発する。関節が衰えてこわばり十分に曲げられなくなるため、力を入れると耐えきれず折れてしまう。加齢や運動不足が原因とされ、高齢者に多い。
だが、近年は子供たちの間で増えている。幼い体が「老化」しているのだ。
文部科学省の委託を受けた埼玉県医師会が平成22~25年、県内の幼稚園から中学生までの子供1343人に運動器の検診を行った結果、約40%に機能不全の兆候がみられた。3人に1人以上に、ロコモの疑いがあるということだ。
危機感を募らせた文科省は今年度から学校での健康診断に運動器検診を追加。文科省幹部は「全国でも埼玉と同様の傾向になるだろう」と予想する。