あだ名で呼び合う
準備から一夜明けた4月19日早朝。レンタカーで千葉市に移動した2人は仕事終わりの少女と合流。女性が「100万円のシャンパンタワーをやる」と周囲に伝えていたホストクラブの前に駐車し、女性が店から出てくるのを待ち伏せた。
この頃、井出被告が女性を後部座席の中央に座らせて逃げ出せなくさせることや、合図で両手足を結束バンドで縛ることなどを指示したとされる。また、井出被告と中野被告をそれぞれ「ケイ」「ジョン」とあだ名で呼ぶことが決められた。中野被告はその理由について、「本名がばれたらまずいからそうしたのではないか」と推察した。
その後、店を訪れても女性に会えなかったため、3人は埼玉県のパーキングエリアへ、車がパンクしたという少女の友人で共犯の少年(18)=逮捕監禁の非行事実で少年院送致=の元へ移動。中野被告がタイヤの交換をしたが、少年は少女以外の2人と会ったのはこのときが初めてだったという。
そして、4人は、レンタカーに井出と中野の両被告が、少年の車に少女と少年が乗り、再び女性の捜索に向かった。
女性の最後の姿
女性は少女らがホストクラブの前から去った後、友人女性とともに退店し、千葉市内のホテルで休憩。この友人の供述調書によると、女性の当時の所持金は少なくとも2万数千円ほどで、2人でホテルを午後10時ごろに出て歩いていると、突然車が進路をふさぐように停車。車内から少女が現れたという。
「なんでばっくれてんだよ。なんで連絡しないの。友人からもの借りてんだから早く返せ」
まくし立てる少女に、女性は動揺した様子で「携帯の電源が切れてた」「今から仕事があるから」などと答えて逃れようとするが、少女が「うちの先輩が近くに来てる。一緒に話し聞くから」と女性を車に乗るように促した。友人は当時の少女の様子に、「何が何でも車に乗せようとしていて違和感があった」と振り返る。
「分かったよ。乗ればいいんでしょ」。そういって女性は少女の後に着いていき、友人と別れた。その約数分後、友人の携帯電話に、男友達から電話があった。「少女が女性を探しているらしい。やばくない?」。妙な胸騒ぎに、女性の携帯電話に電話をかけたがつながらない。これが、女性の姿が確認された最後の瞬間になった。