スクリーン雑記帖

「この世界の片隅に」をめぐる国旗論争 政治的意味合いを回避したあるセリフとは

 これは、どういうことなのか。片渕須直監督(56)に聞いてみた。

 --玉音放送を聞いてすずが号泣する前に旗がパッと立つのが気になった

 「あれは朝鮮の独立旗で、今の韓国じゃないんですよ」

 --あのカットはぜひ入れたかったのでしょうか

 「原作にそもそもあったんです」

 --追加したセリフについては?

 「すずさんは当時食べていたお米の何%が朝鮮米か台湾米かを知っていた。あるいは、お米がなくなった代用食として入ってきた大豆は満州産だった。だから、自分は海の外から来たお米でできていると言った方が、すずさんらしさがより出るかな、と。彼女は朝鮮米を食べていたっていうことなんです」

 --映画にはそれまで政治的イデオロギーな描写がなかったので、配慮したのでしょうか

 「すずは、本当に朝鮮のお米を食べていたということ。これはリアリティーだと思ったんですよね」

 --ただ太極旗が立ったので「あれ?」と思いました

 「原作にもあるし、あの旗を削ると、むしろ政治的な意味になると思う。今までご飯を作ることで彼女が存在意義を持っていたんだとしたら、彼女はそのことを認識すべきだということで、このセリフになっているんです」

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