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走行する電車内で同窓会を-。そんな斬新なアイデアを実現すべく、西武鉄道が11月中旬、同窓会幹事代行会社の笑屋とタッグを組んで「西武鉄道 同窓会電車」を運行した。一見、担当者のノリで始めた娯楽イベントにも見えるが、経験に裏打ちされた西武のノウハウが随所に盛り込まれている。実際に乗車し、その舞台裏と企画に秘めらた西武の長期戦略について探った。
「出発、進行~」
11月12日午後、車掌のアナウンスとともに、130人を乗せた臨時電車が池袋駅を離れた。昭和52年から運行される黄色の2000系(8両編成)の車内は、つり革の下にテーブルをくくりつけ、沿線にゆかりのある4校の同窓生が車両ごとにビールや中華のオードブルに舌鼓を打った。
「みんなとは35年ぶり。集まるのは最後かもしれないので思い出に残るよう応募した」。田無第一中学校(東京都西東京市)幹事の渡辺健一さん(49)は車窓を見ながら感慨に浸った。同窓生の面々は出発前から大はしゃぎ。竹刀を片手に校内を闊歩(かっぽ)したという当時の鬼教師も顔を見せ、「センコーにはひどい目に遭わされた」などと思い出話に花が咲いた。