トランプ次期米大統領のTPPからの離脱表明は、中国にすれば米国主導の包囲網が崩れたことを意味する。今後はアジア太平洋地域で生まれた力の空白を利用して、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)など、中国主導の経済秩序づくりを加速させるとみられる。
中国外務省の耿爽報道官は22日、「アジア太平洋地域の各種の自由貿易協定は相互に排斥するものであってはならず、また政治化することを防がなければならない」と述べ、中国を除外していたTPPの枠組みを牽制するとともに、中国を含む16カ国が参加するRCEPの交渉進展に意欲を示した。
習近平国家主席も19日、ペルーで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)のビジネスリーダーサミットで、TPPを念頭に「閉鎖的で排他的なやり方は正しい選択ではない」と言及。RCEPのほか、APEC域内で貿易自由化を進めるアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構想の実現を訴えていた。