石原慎太郎 日本よ

「モルヒネ」すら携帯できぬ衛生兵 気の毒な日本の自衛隊

それがこの現代で戦に臨む軍隊の最低限だろうが、この動乱の時代に集団的自衛権を認め同じ価値観を抱く友国と共同の作戦に臨まざるを得まいわが国の自衛隊が戦場での最低限の医療の保証もなしに現地に赴かざる得ないという実情を隊員やその家族国民全体にどう釈明できるというのだろうか。

自衛隊の衛生兵が常時モルヒネを携帯できない訳は厚生労働省の縦割り行政の悪弊のせいでモルヒネという強度な麻薬を医師以外の民間人には携帯させぬという制約によるものだ。自衛隊の軍医までが戦闘の第一線に同行する訳はない。政府は近々の政情の極めて不穏な南スーダンに集団的自衛権にのっとって自衛隊を派遣するようだがああした異常な状況下にある国でもしも一人でも自衛隊員に戦死者が出たならば世論は沸騰し自衛隊そのものの存続に支障をきたしかねまい。

そうした懸念の中で私が思い出すのは私がかつて自民党の外交調査会会長を務めていた時カンボジアでの初の選挙の管理指導に赴いていた民間隊員の一人がポルポト派のテロに遭い死亡し、急遽(きゅうきょ)対策会議が開かれた際に出席した外務省の役人がまず事実の説明報告の際に、『いや、これが民間人で良かったですが、これが正式の自衛隊員だったらえらいことでした』とぬけぬけと発言し私が激怒したものだった。

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