河崎真澄の視線

経済減速もなぜか活況 中国不動産バブルの不思議 

 中央政府や地方政府はバブル過熱を警戒し、投機目的の取引が増えないよう住宅ローンの規制策などを相次ぎ打ち出してはいるが、市況そのものが腰折れするような政策は打ち出さない。いわば「官民挙げて」の不動産活況といえる。

 仮に不動産市況が暴落すれば、個人投資家の多くは住宅ローン返済不履行、担保物件の差し押さえ、さらなる負債増など危機的な状況になり、社会不安の要因にもなりかねない。地方政府も似たような状況で、銀行への返済や債券の償還ができない債務不履行(デフォルト)に陥る危険性がある「運命共同体」だ。

 年率7・0〜6・5%増の政府成長率目標も不動産頼み。「習近平指導部は輸出が落ち込んで景気が減速する局面だからこそ不動産市況をなんとしても膨らませる必要がある」と教授は話す。

 需要と供給で市場価格が決まる資本主義社会とは似て非なる論理や行動がまかりとおる中国。ゴーストタウンが林立してもなお、建設は続く。日本の経験からバブル崩壊を予測すると判断を誤るが、この国の異様さがどのような結果を招くか。最悪のシナリオまで想定しておくべきではないか。(上海支局長・河崎真澄 かわさきますみ)

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